9/2 それでも僕が選挙に行く理由
2009.09.03 Thu
選挙の数日前にナタリーの大山さんのブログの記事が話題になった。
『選挙には行かない』ーーTAKUYA ONLINE
『続・選挙には行かない』ーーTAKUYA ONLINE
この記事の内容をものすごくざっくり要約すると『どうせ自分が一票を投じても何も変わらないし、自分みたいな政治に無知な人間の一票にどれだけの価値があるか疑問。だから僕は投票しない』ということだった。
この記事を契機に、どうして僕は選挙に行くのかということを考えた。
僕は大学時代は政治経済学科にいて、専攻は(名前だけだけど)政治政策だった。だからもともと政治はちょっと気にするほうだったし、今回の選挙が日本の歴史の中で結構重要なターニングポイントになると思ったから、ちゃんと考えをまとめておこうと思った。
本当は政治に興味がない人たちにも届くように簡潔に明快に書くのがいいんだろうけど、それだけの筆力も要約力もないので、結構長くなりそうです。
* * * * *
まず、大山さんが書いたことは至極真っ当で、正直僕は反論のしようが無いと思った。選挙に行くことは日本では義務ではなく権利であって、投票しないというのももちろん選択のひとつだ。大山さんの意見は完璧に筋の通った共感できる意見だと僕は思った。
『投票をしない=なんの選択もしない』っていうのは『投票をする=何かを選択する』っていうのと同じくらい政治に参加する選択のひとつですらあると何かの本で読んだし。
ただ、『投票しないなら政治に文句言うな』とか『投票しないなんて無責任』とかの反対意見が噴出したことも否定するわけではなくて、本当はこっちのほうがよほど正論だってことも理解している。『政治に興味が出ないとか難しくて分からないなんてのは言い訳で、政治に関心を持つ気がなくて分かろうとしていないだけだ』なんていう意見は反論のしようがないくらいストレートな意見だと思う。
だけれど、日本って言うのはそもそも政治に興味や関心を持つ必要がない国だったし、興味を持っても何の意味も持たないない国だった。
だって、過去50年間日本ははどんな状況にあっても選挙では自民党が勝ち続け、自民党が(数ヶ月の例外を除いて)ずっと政権を握り続けてきたから。個人個人の政治への関心や興味の有無に関わらず日本の政治=自民党であり、いつなにがあっても自民党が政権から転落するなんていうのはあり得ないことだった。
そんなことが50年も続けば、日本人が政治や選挙に興味をもたなくなるのも当然だ。自民党が与党であることが普通になりすぎていて「政策で政権を選ぶ」とか「選挙で政権を交代させる」っていう概念が日本人にはそもそも根付かなかったんだから。
それに最近は投票の数日前には雑誌や新聞が獲得議席の予想を出してきて、それはかなりの精度で的中するのはここ数回の選挙で実証済みだ。
今回も、新聞と週刊誌が報じた「民主300議席以上獲得」なんて大半の人(民主党本部ですら)が信じていなかったのに、現実となった。前回の郵政選挙もそうだった。
今や選挙は投票する前から結果が分かってしまうんだ。そんな中で、自分が抱える一票にどれだけ意味があるのかなんて僕にも全然分からない。
最後にもうひとつ。
日本は他の先進国の人たちもびっくりするほど平和な国で、安定していて、ひとつの文化と言えるほどに階級差別がない健全な社会で、選挙で誰が当選しようと僕らの生活がいきなり激変するなんてことはほぼ100%ありえない。いきなり社会主義になったり、いきなり階層社会が始まったり、ましてや命の危機にさらされるような結果になるなんてことは今の日本では絶対にない。
だから大局的に観れば、大山さんが言うように『やっぱり誰が勝っても変わりがない』っていうことになる。
今回の選挙だって、自民が勝っても民主が勝っても他の党が勝ったとしても、違うのはせいぜい消費税が数%あがるとか、控除が減って年収が数万円減るとか、近所の郵便局がつぶれるとか、ソマリア沖の自衛隊が頑張るとか戻ってくるとか、そんな程度だ。
それくらいの変化はどうでもいい、別に変わらん、って思っている人がいても全然不思議ではないでしょ?
* * * * *
でも今回の選挙で、政権交代をするという新しい価値観がようやく日本人にも芽生えて、来年の参院選までの1年間、もしくは次の衆院選までの4年間は、民主党の成果を見極める時間になる。その結果を有権者それぞれが評価して、次の政権をどの政党に託すのかをまた投票する。
この「政権が変わる可能性」が生まれたことが今回投票率が7割後半までに上がった一番の理由だと思うし、このまま「政権選択」という価値観が浸透すれば次回以降の投票率はもっと上がると思うし、日本人全体の政治への関心も今までよりずっと広まると思う。
だから僕は民主党の善し悪しに関係なく、ようやく数で自民に対抗できる政党が日本にも出来たのだから、一度民主が政権に立って自民が野党に落っこちることが必要だってずっと考えていた。自民がこのまま政権を握り続けても、政治が絶望的に悪化することはなくても長期的に見て好転することは絶対にないと思っていたから。
もちろん民主が優れた党であるかっていう部分にはたくさん疑問もあるのだけれど、それは上に書いたように『どの党が勝っても政策的には大差ない』ということだ。重要なのは「政権が変わる可能性」が日本にも生まれたことに尽きる。
* * * * *
僕が初めて選挙に行ったのは、20か21の時にあった国政選挙だった(多分参院選だったと思う)。その選挙の結果を見て、僕も大山さんと同じように、そしてたくさんの日本人と同じように、「選挙に行っても全然なんにも変わんないじゃん!」「6万票差とか言って俺の一票全然どうでもいいじゃん!」と思った。
でも、単純に選挙は面白いかもしれないって感じた。
それまではテレビでやっていてもまるで他人事で全然興味なかった選挙が、自分が投票したことによって突然に身近なものになった。自分が投票した候補や党がどんな結果になるのかがとても気になったから選挙速報もずっと見ていたし、結果に一喜一憂した。ちょっとした競馬やギャンブルみたいな興奮だったことをよく覚えている。
簡潔に言うと、それが今でも続いている。投票すれば選挙は面白いし、しなければつまらない。投票すれば次の選挙まで自分が一票を投じた候補や政党の成果が気になるし、投票しなければただでさえ興味が湧きづらい政治にもっと関心がなくなる。どんどん分からなくなる。
だから僕は選挙に行く。
政治には期待も夢も希望も持っていないけれど、選挙には行く。それが僕の持論だ。
選挙に行くのが面倒とか、誰に入れたらいいか分からないと思っている人は、本当に誰でもいいから(どーせ当選する人はもう決まっているし!)一度投票してみればいいと思う。投票所に行けばちゃんと候補者の名前が書いてあるから(僕もいつも投票所に行って初めて候補者の名前を知ります)、あとは好きな名前を書けばいい。
それだけで、ほんの少しかもしれないけれど選挙が面白く感じるはずだし、ほんの少しかもしれないけれど政治に興味が出るはずだから。
きっかけなんてそんな程度でいいと思うんだよね。
『選挙には行かない』ーーTAKUYA ONLINE
『続・選挙には行かない』ーーTAKUYA ONLINE
この記事の内容をものすごくざっくり要約すると『どうせ自分が一票を投じても何も変わらないし、自分みたいな政治に無知な人間の一票にどれだけの価値があるか疑問。だから僕は投票しない』ということだった。
この記事を契機に、どうして僕は選挙に行くのかということを考えた。
僕は大学時代は政治経済学科にいて、専攻は(名前だけだけど)政治政策だった。だからもともと政治はちょっと気にするほうだったし、今回の選挙が日本の歴史の中で結構重要なターニングポイントになると思ったから、ちゃんと考えをまとめておこうと思った。
本当は政治に興味がない人たちにも届くように簡潔に明快に書くのがいいんだろうけど、それだけの筆力も要約力もないので、結構長くなりそうです。
* * * * *
まず、大山さんが書いたことは至極真っ当で、正直僕は反論のしようが無いと思った。選挙に行くことは日本では義務ではなく権利であって、投票しないというのももちろん選択のひとつだ。大山さんの意見は完璧に筋の通った共感できる意見だと僕は思った。
『投票をしない=なんの選択もしない』っていうのは『投票をする=何かを選択する』っていうのと同じくらい政治に参加する選択のひとつですらあると何かの本で読んだし。
ただ、『投票しないなら政治に文句言うな』とか『投票しないなんて無責任』とかの反対意見が噴出したことも否定するわけではなくて、本当はこっちのほうがよほど正論だってことも理解している。『政治に興味が出ないとか難しくて分からないなんてのは言い訳で、政治に関心を持つ気がなくて分かろうとしていないだけだ』なんていう意見は反論のしようがないくらいストレートな意見だと思う。
だけれど、日本って言うのはそもそも政治に興味や関心を持つ必要がない国だったし、興味を持っても何の意味も持たないない国だった。
だって、過去50年間日本ははどんな状況にあっても選挙では自民党が勝ち続け、自民党が(数ヶ月の例外を除いて)ずっと政権を握り続けてきたから。個人個人の政治への関心や興味の有無に関わらず日本の政治=自民党であり、いつなにがあっても自民党が政権から転落するなんていうのはあり得ないことだった。
そんなことが50年も続けば、日本人が政治や選挙に興味をもたなくなるのも当然だ。自民党が与党であることが普通になりすぎていて「政策で政権を選ぶ」とか「選挙で政権を交代させる」っていう概念が日本人にはそもそも根付かなかったんだから。
それに最近は投票の数日前には雑誌や新聞が獲得議席の予想を出してきて、それはかなりの精度で的中するのはここ数回の選挙で実証済みだ。
今回も、新聞と週刊誌が報じた「民主300議席以上獲得」なんて大半の人(民主党本部ですら)が信じていなかったのに、現実となった。前回の郵政選挙もそうだった。
今や選挙は投票する前から結果が分かってしまうんだ。そんな中で、自分が抱える一票にどれだけ意味があるのかなんて僕にも全然分からない。
最後にもうひとつ。
日本は他の先進国の人たちもびっくりするほど平和な国で、安定していて、ひとつの文化と言えるほどに階級差別がない健全な社会で、選挙で誰が当選しようと僕らの生活がいきなり激変するなんてことはほぼ100%ありえない。いきなり社会主義になったり、いきなり階層社会が始まったり、ましてや命の危機にさらされるような結果になるなんてことは今の日本では絶対にない。
だから大局的に観れば、大山さんが言うように『やっぱり誰が勝っても変わりがない』っていうことになる。
今回の選挙だって、自民が勝っても民主が勝っても他の党が勝ったとしても、違うのはせいぜい消費税が数%あがるとか、控除が減って年収が数万円減るとか、近所の郵便局がつぶれるとか、ソマリア沖の自衛隊が頑張るとか戻ってくるとか、そんな程度だ。
それくらいの変化はどうでもいい、別に変わらん、って思っている人がいても全然不思議ではないでしょ?
* * * * *
でも今回の選挙で、政権交代をするという新しい価値観がようやく日本人にも芽生えて、来年の参院選までの1年間、もしくは次の衆院選までの4年間は、民主党の成果を見極める時間になる。その結果を有権者それぞれが評価して、次の政権をどの政党に託すのかをまた投票する。
この「政権が変わる可能性」が生まれたことが今回投票率が7割後半までに上がった一番の理由だと思うし、このまま「政権選択」という価値観が浸透すれば次回以降の投票率はもっと上がると思うし、日本人全体の政治への関心も今までよりずっと広まると思う。
だから僕は民主党の善し悪しに関係なく、ようやく数で自民に対抗できる政党が日本にも出来たのだから、一度民主が政権に立って自民が野党に落っこちることが必要だってずっと考えていた。自民がこのまま政権を握り続けても、政治が絶望的に悪化することはなくても長期的に見て好転することは絶対にないと思っていたから。
もちろん民主が優れた党であるかっていう部分にはたくさん疑問もあるのだけれど、それは上に書いたように『どの党が勝っても政策的には大差ない』ということだ。重要なのは「政権が変わる可能性」が日本にも生まれたことに尽きる。
* * * * *
僕が初めて選挙に行ったのは、20か21の時にあった国政選挙だった(多分参院選だったと思う)。その選挙の結果を見て、僕も大山さんと同じように、そしてたくさんの日本人と同じように、「選挙に行っても全然なんにも変わんないじゃん!」「6万票差とか言って俺の一票全然どうでもいいじゃん!」と思った。
でも、単純に選挙は面白いかもしれないって感じた。
それまではテレビでやっていてもまるで他人事で全然興味なかった選挙が、自分が投票したことによって突然に身近なものになった。自分が投票した候補や党がどんな結果になるのかがとても気になったから選挙速報もずっと見ていたし、結果に一喜一憂した。ちょっとした競馬やギャンブルみたいな興奮だったことをよく覚えている。
簡潔に言うと、それが今でも続いている。投票すれば選挙は面白いし、しなければつまらない。投票すれば次の選挙まで自分が一票を投じた候補や政党の成果が気になるし、投票しなければただでさえ興味が湧きづらい政治にもっと関心がなくなる。どんどん分からなくなる。
だから僕は選挙に行く。
政治には期待も夢も希望も持っていないけれど、選挙には行く。それが僕の持論だ。
選挙に行くのが面倒とか、誰に入れたらいいか分からないと思っている人は、本当に誰でもいいから(どーせ当選する人はもう決まっているし!)一度投票してみればいいと思う。投票所に行けばちゃんと候補者の名前が書いてあるから(僕もいつも投票所に行って初めて候補者の名前を知ります)、あとは好きな名前を書けばいい。
それだけで、ほんの少しかもしれないけれど選挙が面白く感じるはずだし、ほんの少しかもしれないけれど政治に興味が出るはずだから。
きっかけなんてそんな程度でいいと思うんだよね。



選挙にイク
けれども今の政治家で、自分の身を削ってでも日本を豊かにしようという信念を持った人がいるようには感じられません。
結局のところ皆自分のことが可愛いくて仕方ないんだろうね。
だから僕は選挙には行くけども毎回無記名投票です。自分の清き一票を投じたい対象者がいないからです。これも1つの投票行為だと考えています。
no subject
ちなみにエントリで書いた大山さんのブログから派生したいろんな箇所で、「せめて白票だけでも投じるべき」「いや白票なんてクソ意味ないからそれなら投票しない方がマシ」っていう熱々な議論があって、でも僕的には投票率とかいろんなアレから言うと、せめて白票でも投じたほうがいいと思うのでユーに賛成です。